先に、佐賀市内を暮らす人々に寄り添うように流れる川が懐かしい、と書いた。
だが、総延長2000キロの水路を管理することはただごとではない。 川の清掃は地域の住民頼みなのだ。調べてみると「佐賀市の河川をきれいにする条例」および「佐賀市の河川をきれいにする条例施行規則」が平成9年に制定され、河川の清掃協力は住民の義務と化しているのだった。→ 佐賀市のページでは上水道の発達とともに川が生活から離れていき汚れてきた、と書かれているが、掲載された写真を見るまでもなく、市内の川の汚染は下水道事業の立ち遅れがもたらしたものだろう。いまや市内のどの水路も各家庭、事業所から下水を川に排出するための下水管がにょきにょき突き出ている。→ 春秋の年に2回「川を愛する週間」に地域住民は「自治会」ごとに川の清掃をする。この下水管の突き出た水路に入り、どぶを浚えるのだ。おぞましい話ではあるが、それでも、体力のある若い世代の共同体であればそれなりの連帯感も生まれ、達成感もあるだろう。 だが地域は高齢化している。川掃除を地域でになう主体は自治会だが、若い世代は自治会に加入していない場合が少なくない。体も動かず、病院通いをしながらの自治会員に川掃除は無理な話だ。無理な話だが、自治会という地元の相互扶助管理組織の中では「わがまま」を言いづらい。川を愛するどころか苦役にもなっている。体が利かないだけではなく地元で生きるための共同体を壊したくないという二重のくびきになっているように見える。 市内に美しい流れを取り戻すのは、観光という側面からも強く推進されていいことだと思う。水のあるたたずまいは人をほっとさせるのだから。無遠慮に突き出た下水道パイプを撤去し、清流が戻るまで、川の清掃は市が責任を持って推進する事業ではないかしら。
by e3eiei
| 2007-03-21 22:07
| 見聞
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