深蕎人@武蔵境南口
「しんきょうと」と読むのらしい。以前はここにフランス国旗とイタリア国旗を掲げたお店があったように思う。 ひっそりと構えた雰囲気の和食屋のようなたたずまいだ。「蕎」の字が入っているから蕎麦屋かなあと思って、のぞいてみると、薄暗い。 店内は落ち着いたというよりさらに照明を落としてある。テーブルとカウンターはゆったりとしつらえてあり、奥のガラス張りの中には大きな電動石臼がある。ホテルのBGMのようなうす甘いギター音楽が流れている。先客はビールの男性二人とカウンターの男性一人。 冷たいお蕎麦はちょっと寒いような気もして、冷たいそばに熱いつゆはできるか聞いてみたところ、鴨南せいろが熱いつゆだと言われるのでそれを注文する。運ばれてきたお茶は蕎麦茶だ。 しばーーらく待つとカウンターの男性のところに蕎麦が運ばれてくる。さらに待つとビールの人のところに卵焼きが来る。カウンターの人は食べ終わって帰っていく。さらに、待つなあ、と思っていると、ようやくお蕎麦が運ばれてくる。 お蕎麦は端正なたたずまいで少なめに盛ってある。香りはあまりたたないが、南蛮つゆにつけていただくとなごむ味わいだ。蕎麦つゆは鴨と焼いた南蛮ねぎ、三つ葉、それに柚子が忍ばせてある。蕎麦つゆの味というより冶部煮の味がしてあったまるしこれはこれとしておいしい。鴨がこれでもかというほどたくさん入っていて、筋が少々硬いので難儀するし、これでお腹がいっぱいになってしまう。いや、実は鴨はそれほど好きじゃなかったりするのだ。粉山椒が添えられているので、少し汁に加えてみたりする。 鴨南蛮もおいしかったが、ふつうのきりっとしているであろう蕎麦つゆも味わってみたい気もした。 少しすると蕎麦湯を持ってこられるが、ちり蓮華ととりわけ用の蕎麦猪口が添えられる。わが意を得たりだ。このたっぷりしたつゆにはどんなに蕎麦湯を足したところでのめるところまで薄まらないのだ。 蕎麦湯はさらりタイプで、南蛮のつゆを蕎麦猪口にとって蕎麦湯を加えていただく。おいしい。ごちそうさまのあとに、蕎麦茶を差し替えてくださり、甘い蕎麦ぼうろが付く。 鴨南せいろは1500円。ふつうのせいろは700円と、少々お高め。
by e3eiei
| 2012-07-23 00:12
| 食べたもの 中央線沿線
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