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産業構造が変化する

『富士日記』 昭和42年7月11日 中公文庫(中)148

○そんなこんなで、結局、一家のうち、サラリーマンとなって定収入を持ってくる人が一人はいて、あとは野良をして、それも自分のうちで喰う分と、余れば出すというくらい作っているのが安気だねえ。
○何ていっても、サラリーマンが一番!! 能がなければ能がないように安月給を貰ってくれば、それはそれなりで、やりくりして暮らせる。頭のいいもんは事務をやればいいし、わるいもんは、土方だって、男は千五百円、女は千円とれる。旅館のアルバイトなら女でも千二百円で、食事付き、昼寝付き、おやつ付き、風呂付きで、大切に雇ってくれる世の中である。田畑を人に貸して雇われに行ったほうがいい。一日千円の日当で畑仕事の人を雇って畑を作って、今年の野菜の安値ではなあ。雇われていった方がいい。
 お上さんは顔を高潮させてしゃべる。のんきそうな私に、あてつけてしゃべりたかったのだろうか。
 ずっと前、外川さんは、「田んぼぐれえ安気なものはねえ。田植に大騒ぎして人をよんで植えてもらえば、あとはとり入れのとき、もう一度人をよべばいい」というようなことをいっていたが、あれは自分でしないで、奥さんだけがしていて、その奥さんが無口で、一人黙ってやるから、気が付かないのだろうか。

第一次産業から第二次・第三次産業へ。俸給生活者は憧れというよりも「定収入が得られる」安定した生活をもたらしてくれるという認識。農業で暮しを立てていく貧しさと不安定さがあったのか。
さらにそのなかでもまたジェンダーによって二重化した階層。
by e3eiei | 2006-04-13 23:27 | 見聞 | Trackback | Comments(0)
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